少し前に…著名なコメディアンが突然亡くなった。

自死ということで、世間に大きな衝撃が走った。出来事の一報と共に、「いのちの電話」の連絡先などもニュースに乗る。報道で衝撃を受ける人への配慮、とか説明がされているようだけど、訃報とセットにしては悪い冗談にも読めてしまうのは邪推がすぎますか?例えば事故映像使った保険のCMみたいな…悩んでるうちに電話しないと、「こう」なりますよって。

「独りで悩まないでね」というようなアドバイス(?)は、その通りだと思う。世の中、わからんことは調べてみる。なおわからないなら、聞いてみる。他人は自分じゃない。故に、まったく違う考えを持っている。例えば深刻な話に冗談半分のような答えを返されても、それもそうだな、と考えを改めることもできる。ただやはり、そういうことじゃねえんだよ!って反駁することもある。やっぱり他人は自分じゃないのでしょうがない。ただ、他人は自分じゃないので、たくさん存在する。他のいろんな人に聞いてみることだってできる。電話かけると出るどこかの誰か、とか…。

そもそも「いのちの電話」って具体的になんなのか。利用したことはないので「死にたいと打ち明けると優しく諭されて止められる」ぐらいの雑なイメージしか持ってはいない。故人が個人が利用するにあたってはオープンなサービスの筈だ。だから、もっといろいろな内容が寄せられているんじゃないかと調べてみると、過去の相談件数などデータがネット上に公開されていた。下記リンク先にて。このデータは、年度によってドキュメントの体裁が違っていたりしてちょいっと読みにくいんだが…自分が持っているイメージ以外にも、よろず相談が寄せられているようだ。邪推になるが、そんなのでここに電話するなよ、みたいなしょうもない内容だってあるんじゃないかね。

https://www.inochinodenwa.org/?page_id=3227

相談員はボランティアで賄っている。ボランティアの方のインタビュー記事がこちら。

https://hatawarawide.jp/urakata/210823-1/

「カウンセラーではありません」という発言は、私が抱いている相談員の仕事のイメージに近い。相談員から解決方法を提示することもしないという。コンサルタントでもないと。いのちの電話では、まずは話を聞いて、それで、宥めるかなにかして、それだけ。相談者が、事態が解決するように一から百まで懇切丁寧ちやほやしてほしいとか、ちょっと手を貸してほしい、なんて思っているんだったら、いのちの電話にそれを求めるのは、本来はお門違いってことかな。

それでは、現代風に「いのちのインターネット」もあるだろうか。本家の「いのちの電話」にも、インターネットを介した相談方法が提供されている。ネットで調べたところでは、メールで数往復、相談員とやりとりができるという仕組みらしい。時代の流れとしても、インターネットを介したサービスが提供されるのは当然だと思う…けど、メールでやり取りって方法が、求められているものと違うようにも思える。厚生労働省のサイトには、SNSなどでの相談に乗っている団体のリストがある。見た感じでは、こちらはチャットなど割と若年層になじみの深い方法を使えるみたいだ。

https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/sns/

いのちのインターネット、ありました。

折角なので、もうちょっとインターネットすばらしいと言えるような仕組みがないかなと調べたりアイデアを考えたりしたんだけど、どうにもうまくいかないので一か月ぐらいこねくり回した結果、あきらめた。死にたい人(うつ病の人)への対処は、なんとなくそのマニュアルが素人でもイメージできるほどに世の中に浸透しているんじゃないかと想像する。お話を聞いてあげましょう、みたいな…。インターネットでは、話し相手がいなくても自ら意思表明を公開する仕組みがいっぱいある。SNSとかブログとか。例えばこういうものにシステマチックに適切なお返事が来るような高度な仕組みがあれば、これぞインターネット素晴らしいと…いえるのかが、わからん。こんな場末のブログで拾おうとしても、書き手側にポリシーもアイデアも乏しい。与太話で弄るわけにもいかんだろう。

google先生に「死にたい」と意思表明すると、いの一番に「いのちの電話」的なサイトをお勧めされる。そんなgoogle先生でも。「殺したい」などと検索すると「殺したいならAmazon」と広告が表示された時代もあった。客観的に見ればプログラム仕様の欠陥という事になるが、古典落語のような滑稽さで好きなエピソードだ。インターネットには総じてログが残る。死にたい人たちの「やっぱやめた」とか、「やめてよかった」とかいう意思表明が積み重なっていけば、インターネットが世の中に与える影響も変わっていくんじゃないかね。