神業という表現があります。神様にしかできないようなこと、というような意味ですが、これを人間に使う場合のニュアンスは「神にしかできないように思えることを人間が達成した」こんな感じでしょうか。スポーツだけにとどまらず、手品や料理、円周率暗記なんてものにも、広く使われる表現です。実際には神様は存在しないのですが、人間の中で一番上手という域を超えるほどに傑出したのです。その賞賛の言葉なわけですね。

ここ数年で神様が誕生したジャンルがあります。将棋です。言葉の定義とか細かいことを抜きにして言うと、コンピュータソフトの処理による指し手の選択は、人類を超えました。電王戦を見た人は思い出すでしょう。佐藤天彦名人(対局当時)との対局で、先手PONANZA初手3八金。人類にやり直しを告げる神の啓示です。あるいは神は舐めプを覚えたとでも?その日、四月なのに雪が降っていました。

神の啓示が指し手なわけで、人間でも猿真似なら簡単にできます。そこで、人間同士の対局ではソフトを利用することは咎められるようになりました。カンニングみたいなものですから当然。プロの将棋棋士の間でも、その疑惑で非常に大きなもめ事がありました。三浦九段の事件ですね。さらに、インターネット越しで対局ができるサービスなんかですと、そういう不正行為の現場を押さえるなんてことは不可能です。不可能ですが、棋譜が残ります。コンピューターソフトとまるっと同じ手を指していると、こいつは怪しいとなるわけです。と、書きましたが、丸っと同じなら不正確定という感じだと思います。人間が神様と同じことできませんので。部分的な一致について、どのように不正と取り扱うのか、この辺が判断難しいと思います。三浦九段のケースは、自分の指し手の意味、読み筋を本人が説明できなかったことから、あのような騒動に広がるに至ったとされています。ごもっとも。

今回、ほっしーという方がこの不正が発覚しました。過去にも、棋譜からソフト利用の不正と判断されて処罰を受けた人はいます。多分、いっぱいいます。ソフトを使わなくても、そこらの人間には負けないというレベルに将棋が強い人でも、います。今回のほっしーのケースは、氏が将棋の指導や講座やらで金銭を受領しているといったあたりが大きく取り沙汰されているようです。弁護士に依頼したら実は免許なかった、みたいなもんですから当然。氏は、アマチュアの全国規模の大会で優勝するほどの実力があり、奨励会に在籍の経験もあります。

https://www.shogi.or.jp/column/2019/03/post_507.html

なんでこんな事をしたのかしら、と不思議に思ったのですが、ググってみると過去にも同じ不正でBANされたという話ばかり出てくるんですが…。あーこれは、単にそういう人だった説?こういう人が幅を利かせてくるようだと、将棋自体が危ないよね。ゲームのチーターみたいなもんで、犯罪として検挙される事例も出てきた物の、一時のやりたい放題っぷりでは焼き畑にされる可能性もあった。Eスポーツだとかプロチームだとかでどうにか持ち直した感じすらするもの。

将棋に限らず、チェスとか囲碁界隈はネットでの不正対策どうなってんだろう。